Fagus crenata
板目(褐色の斑点が放射組織)
北海道南部、本州、四国、九州の山地に産する落葉高木。
国産の広葉樹材としては最も蓄積が多いとされる。
比重:0.65前後
心材と辺材の区別は不明瞭で、色は白に近い淡黄色。散孔材で木目は不明瞭であるが、木材表面には褐色の斑点(放射繊維)が見られる。
材質は硬くて粘りがあり裂けにくいため、脚物や曲げ木、積層合板などによく利用される。また、不朽には弱く、乾燥によるねじれや狂いが生じやすいため注意が必要。
ブナと言うと世界遺産にもなっている白神山地のブナの原生林などを思い起こしますが、日本の山地によく見ることのできる落葉高木です。もちろん白神山地のブナは手付かずの原生林として非常に貴重な存在であることに変わりはありません。
さて、蓄積も多いことからブナ材は比較的安価な木材です。そのため、乾燥時の狂いなどを考慮して上手く扱うことができれば、とてもよい材料だと思います。
木肌も白くておとなしいので、おもちゃ作りにも向いているようにも思いますね。
また、とても弾力のある材料なので曲げ木にしたり、薄い単板にスライスしたものを何枚も貼り合わせて積層合板にされたりします。
小学生の頃、教室でお世話になっていた椅子の座面や背板はこのブナの積層合板でした。
何の授業だったかは忘れましたが、小学校の先生が椅子の材質をブナだと教えてくれたことがあり、初めて木材の種類を意識して観察し、記憶したのがその時だったように思います。
ちなみに「ビーチ(beech)」は主に北米やヨーロッパに生育するブナ(アメリカンビーチ(Fagus grandifolia)、ヨーロッパビーチ(Fagus sylvatica) )のことを指すようです。
木工を習い始めた頃は、「ビーチ」と「バーチ(樺)」で混乱したことも有りましたっけ・・・。